35歳の誕生日 ②(1)

16/30
前へ
/38ページ
次へ
「桜井。 しっかりしろ」 呆れたような声とともに、 私に近づいて来て、 玄関先から、動けない私の顔を覗き込む。 「大丈夫かよ」 「・・・う、うん・・」 そうだ ここは私の部屋だ。 とりあえず・・。 「ご・・ごめん・・。 中嶋くん。 そこ・・座って」 私がダイニングのイスに座るように勧めると 中嶋くんは、 もう一度、小さく溜息をついた。 「いいの?」 「うん。どうぞ」 その『いいの?』の意味なんて、 考えもしないまま、 何かをごまかすように私は、無理やり笑顔を作った。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

887人が本棚に入れています
本棚に追加