35歳の誕生日 ②(1)

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「・・ふーん・・。そういうことか・・」 中嶋くんは、そう呟くと、腕を組んで考え込んでしまった。 すっかり空になったグラス。 冷蔵庫には、もうビールは入ってなかったはず・・。 重い空気での沈黙は、やっぱり耐え難くて、 私は無理やり笑顔を作って、話し始めた。 「話しを聞いてくれて、ありがとうね・・。 聞いてくれただけで、ちょっとラクになったよ。 中嶋くんといるとさ。 なんかホッとできるんだよね・・。 私は私でいて、いいんだって思える・・」 中嶋くんは驚いたようにハッっと息を呑んで、 一度、目を見開いてから、 少し顔を歪めた。
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