第二章

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ダメ? 「どうしてですか」 「タイムパラドックスって知ってる?」 聞いたことがあるような、ないような。 「タイムスリップ先で必要以上に人と関わると、戻った時間軸で何かが変わってしまう。そういう話もあるんだ……あ。どうしよう。もう私と関わってるよ! やばいかな、やばいよね!?」 いきなり取り乱し始めた春浦先輩。僕はわたわたと動じる先輩の姿が可愛くてやばいです。 「ま、まあ。最初はタイムスリップしたなんて知らなかったんですから」 「だけど戻ったとき大変なことになってるかもなんだよ!?」 「でももうどうしようもないですし」 「……そう、だよね」 春浦先輩は落ち込んだように俯いてしまう。 そこまで気にしてくれるのか。 「いや、必要なことだと思えばいいんじゃないですか? 実際、僕には先輩が必要ですし」 彼女がいなければ、どうしたらいいのか答えを出せない。考えることすら、できなかったかもしれない。 「遠坂君……」 「だから、その。自分を責めないでください」 自分を責めなければいけないのは僕の方だ。春浦先輩を巻き込んでしまったのは、紛れも無く僕なのだから。たとえそれが不可抗力であったとしても、だ。 「ありがとう」 「別に、お礼を言われることは何も」 優しい微笑みを向けられた僕は気恥しくなって、先輩から顔を逸らした。 そのまま先輩の方へ顔を向けるのはできなくて、大きな窓から外へ視線を向ける。 そこには赤紫色の空があった。もうじき、日が沈むのだろう。 「でも、だとしたらどこに行けばいいんでしょうかね。あんまりお金持ってないんで、ホテルとかは無理ですし」 野宿するしかないのかもしれない。
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