第二章

7/15
前へ
/45ページ
次へ
最悪それでもいいのだけれど、食費という問題がある。 コンビニで何日か分のパンくらいを買うほどのお金はあるけれど、この時代にいつまでいるのかわからないし、少し心配だった。 「うーん……。どこで寝泊まりするのかもだけど、あんまりお金ないなら、食費とかも考えないといけないよね」 僕の心を見透かしたように、春浦先輩が言った。 「そうですね。僕も今それを考えていました」 「あ、でもそれくらいなら私があげればいいか」 「な、何言ってんですか! そんなこと頼めませんよ」 さすがにお金を出してもらうわけにはいかない。だから、強がりを口にすることにした。 「でも」 「いやいいですって。当分は大丈夫ですし、最悪困ってから考えればいいんで」 どうにかできるとは断言できないけれど、まあなんとかなるだろうと思うしかない。 そんなことは些細なことであって、本当に大事なのは戻れるかどうかだけだ。 「それで大丈夫なの?」 「はい、大丈夫です。……たぶん」 「たぶんって……」 春浦先輩は心配するような表情で、僕の方を見つめてくる。 「心配してくれてありがとうございます。もし本当にどうにもなりそうになかったら、その時は相談させてもらうかもしれないですけど」 もちろん、その気はない。 「それはもちろんいいけど……」 「大丈夫ですから」 「……うん、わかった。あ、でも泊まる所は?」 「あー、そうですね。最悪、雨風が凌げればいいので、野宿でも構わないですけどね」 「それはダメだよ」 「まあ、僕もできればしたくないですけど」 とは言っても、他に方法が思いつかない。 それは先輩も同じようで、難しい顔をしていた。それを見て僕は思う。やっぱり親切な人だな、と。 春浦先輩の携帯電話が鳴ったのはその時だった。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加