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最悪それでもいいのだけれど、食費という問題がある。
コンビニで何日か分のパンくらいを買うほどのお金はあるけれど、この時代にいつまでいるのかわからないし、少し心配だった。
「うーん……。どこで寝泊まりするのかもだけど、あんまりお金ないなら、食費とかも考えないといけないよね」
僕の心を見透かしたように、春浦先輩が言った。
「そうですね。僕も今それを考えていました」
「あ、でもそれくらいなら私があげればいいか」
「な、何言ってんですか! そんなこと頼めませんよ」
さすがにお金を出してもらうわけにはいかない。だから、強がりを口にすることにした。
「でも」
「いやいいですって。当分は大丈夫ですし、最悪困ってから考えればいいんで」
どうにかできるとは断言できないけれど、まあなんとかなるだろうと思うしかない。
そんなことは些細なことであって、本当に大事なのは戻れるかどうかだけだ。
「それで大丈夫なの?」
「はい、大丈夫です。……たぶん」
「たぶんって……」
春浦先輩は心配するような表情で、僕の方を見つめてくる。
「心配してくれてありがとうございます。もし本当にどうにもなりそうになかったら、その時は相談させてもらうかもしれないですけど」
もちろん、その気はない。
「それはもちろんいいけど……」
「大丈夫ですから」
「……うん、わかった。あ、でも泊まる所は?」
「あー、そうですね。最悪、雨風が凌げればいいので、野宿でも構わないですけどね」
「それはダメだよ」
「まあ、僕もできればしたくないですけど」
とは言っても、他に方法が思いつかない。
それは先輩も同じようで、難しい顔をしていた。それを見て僕は思う。やっぱり親切な人だな、と。
春浦先輩の携帯電話が鳴ったのはその時だった。
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