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それとも、過去が変わってしまったのか?
僕が先輩に出会ってしまったせいで?
過去の春浦に会ってしまったせいで?
僕のせいで変わってしまった?
……いや、それはないはずだ。
春浦先輩が言う言葉を信じれば、変わるのは未来だということだった。だとすれば先輩が消えるなんてことはない、はずだ。
「……本当か? いや疑っているわけじゃないんだ。その――」
「いないって言っているじゃない。アンタの勘違いよ」
今まで作業に集中していたはずの宮ノ郷が、僕の言葉を遮った。
「そうよね、春浦さん」
「です。遠坂君の勘違いです」
「いや、でも」
「その人に会ったのはだいぶ前なんでしょ? だったら記憶違いがあっても仕方ないわ」
思わず宮ノ郷を振り返ると、彼女の瞳が僕の瞳と重なる。いつになく真剣なまなざしだった。
もしかすると、僕は触れてはいけないものに触れてしまったのだろうか。そんな不安が頭を過る。
結局、確認なんてできなくて、その日の部活動は終了した。
☆
部室の鍵を閉める宮ノ郷の背中を見つめていた。
部活時間が終わり、活付けをしたいた時だった。宮ノ郷が小声で後で話があると耳うちしてきた。だから春浦が帰った今も、副部長の仕事に付き合っている。
「歩きながら話しましょうか」
そう言って、幼馴染の少女は歩き出した。
その黒髪を追って、僕も続く。
「話ってなんだ?」
「春浦さんのお姉さんのことよ」
なんとなく、そんな気がしていた。
「……やっぱりいるのか」
「そうよ」
それで少しだけ安心する。
「春浦さんのお姉さんはね、春浦澪さんといってね、文芸部の先輩なの。部長だったらしいわ」
「そうなのか」
知らないフリをする。そっちの方が自然だと思ったからだ。
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