赤翡翠

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雨が、降っていた。 建物の雰囲気と、沢山並んだ車。 何のお店かはすぐに分かった。 そこは大通りで似たようなお店がいくつかあったから、どこのディーラーだろうと思って見上げた。 鷹臣くんが働いている会社だった。 傘に隠れてたら気がつかなかったかな。 なんて、卑怯なことを思う。 お店の中央付近に置かれたテーブルにいた鷹臣くんは、パンフレットらしき物を手にしてお客さんと話してた。 笑顔で、時折何かを書き込みながら説明している様子。 初めて見る仕事中の鷹臣くんはすごくカッコよかった。 立ち止まって手を振れば良かったかな。 なんて、都合のいいことを思う。
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