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「でもさぁ。瀬戸くん、彼女と別れたならつぐみちゃんと付き合ってみればいいと思わない?」
「思わない」
「試しに」
「試してどうするんだよ」
「変わるかもしれないじゃない」
「変わると思う?あいつが」
「純愛なら」
「……」
「瀬戸くんの歴代の彼女の中でもさぁー、つぐみちゃんくらい大切にされてる女の子っていなかったと思うんだよねぇー」
ムスッとした俺をよそに、頬杖をついたあやめは楽しそうに笑い、調子に乗り始める。
「俺の妹だからだろ」
「それもあるけど」
手を伸ばしてあやめからフォークを奪い、ナポリタンを太く巻きつけて口の中に詰め込んだ。
「何が言いたいんだよ」
「瀬戸くん、本当はつぐみちゃんのこと好きなんじゃないのかなぁー?……って、ちょっと、ひばりくん。あからさまに固まらないでくれる?」
ピタッ。とフリーズした俺を「おーい」と呼びながら目の前で手を振るあやめ。
右手薬指にはめられたプラチナの指輪がキラキラ光る。
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