雲雀

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「あ。ナポリタン冷めちゃった。ねぇ、ひばりくん。海老フライと交換してよ」 「断る」 「ケチッ!」 時間をおいたナポリタンがフォークで巻きづらくなったことに気がついたあやめは、コロッと話を変え、海老フライを一本残した俺の皿に右手を伸ばす。 その手をペチッと軽く叩くと、これみよがしに海老フライにかぶりついた。 「ケチケチケチ」としつこく連呼するあやめを「ハイハイ」と軽くあやし、携帯を手に取って画面を操作する。 『鷹臣からのリクエスト。しょうが焼き、カレー、ブリ大根、餃子』 とりあえず、メモの内容だけはつぐみに報告しておこう。 「シスコン」 「知ってる」 仕方なく冷めたナポリタンを頬張るあやめの嫌味なんか慣れたもの。 すぐにブルッと震えた携帯の画面に目をやりながら、サラリと受け流す。
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