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「つぐみちゃん。ひばり、何か勘違いしてるみたいだから正してあげて」
その手をやんわりとほどき、目の前にグラスを置いて「はい、水」と嘘をつく鷹臣。
「勘違いしてない。つーか、水ってなんだよ。お前が手に持ってる一升瓶はなんだ」
邪魔なグラスを目の前からよけて、鷹臣が持っている茶色の瓶を指さした。
「酒という名の水だけど。ね。つぐみちゃん」
既に半分ほどになった瓶の中の酒を揺らす鷹臣は、自分の正面に座るつぐみに話を振る。
「うん。銘酒という名の銘水だね」
答えるつぐみの手に握られているものは、たった今、俺がよけた日本酒のグラス。
「つぐみ、飲み過ぎ。鷹臣に襲われるぞ」
「いいよ。いつでもオッケー」
「その前に俺がつぐみちゃんに襲われるかも」
手で作ったオッケーサインを顔の横に添えたつぐみは、鷹臣の言葉に頬を赤くし「それもいいかも」などとのたまった。
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