15744人が本棚に入れています
本棚に追加
/673ページ
「香澄?あやめの友達だろ。覚えてねーの?山田香澄。お前、高3の時に同じクラスだったじゃん」
「いたっけ」
「いたわ。アホ」
「飲むの?返事どうする?」
「『分かった』」
「ハイハイ。断ったら機嫌悪くなるもんな、お前の彼女」
そこまで話すと、『そういえばあの頃、香澄って鷹臣のこと好きだったな』と思い出し、俺達の横で大人しく飲んでいるつぐみのことが気になって、チラリと視線を向けた。
……が、しかし。
「鷹臣くん。日本酒もう無いよ」
幸か不幸か、酒に夢中のつぐみの耳に『香澄』の名は届いていないようで、彼女の目には空になった一升瓶しか見えていなかった。
一見、普段と変わりないようだが、妙にフワフワしている。
「おかわりくださーい」
兄ちゃんには分かる。妹は確実に酔っ払っている。
最初のコメントを投稿しよう!