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女の子らしい、花柄のカバーがかけられた掛け布団をそっと被せ、眉と同じ高さに切られた前髪を斜めに流した。 ゴソゴソとポケットを探り、手に当たった物を取り出す。 「……」 それを慣れない手つきで斜めの前髪にさし、彼女を飾った。 「っふ」 オデコを出した彼女はいつもより幼く、口を半開きにして眠る姿がとても可愛らしく見えて、思わず笑みが零れる。 「……」 口元に手をあて、緩む顔を堪えながら、少しの間彼女の寝顔を堪能し、足音をたてないよう静かに部屋を出た。
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