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それから真っ直ぐ向かったのは、正面にあるひばりの部屋。 先程、ひばりの足元に置いた毛布を手に取り、すぐに部屋を出る。 リビングに戻り、部屋の灯りを消して、ゴロン。とソファーに横になった。 毛布を胸まで被れば、自然とあくびが出てくる。 あー。つぐみちゃんが飲む前に布団敷いてもらえばよかったな。 さほど期待していないことをぼんやり思いながら目を閉じた。 後は、意識を静かにさせ、途切れるのを待つだけ。 狭いソファーも硬い枕も気にならない。 つぐみちゃんとひばりの気配がするこの家は、いつ来ても居心地が良い。 美味い料理に美味い酒、楽しい時間に満足した俺は、つぐみちゃんの嬉しそうな顔を思い浮かべ、ゆっくりと意識を手放した。 「……」 さすがに、顔は緩んでいなかった。と、思う――
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