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過去の私を誰も知らない世界で、友達を作ろうと希望に胸を燃やして早1ヶ月。
私は何となく漂う、高校生デビューを失敗する危機感にため息をこぼした。
「あのっっ…」
目の前に立つ背の高い男子は、一学年上の証しである緑色のネクタイをしているのに、挙動不審なぐらいに顔は赤く染まり、滝のような汗をダラダラと流してやたらソワソワとしている。
放課後の一年生の教室に現れたこの上級生は、「話がある」と私を呼び出し、体育館裏に連れて来てからずっとこんな感じで、まるで漏れそうなとトイレを我慢している様にモジモジし続けていた。
「あのっっ…」
そして壊れたラジオのように、同じ台詞を繰り返えす。
それもその筈。
人目を避けたい予感がするこのシチュエーションで、何故か周りの茂みやら建物の影に野次馬がコソコソとはびこっていた。
上級生が一年生を呼び出し、しかも体育館裏に連れて行くのだから、みんな『告白』するとでも思っているんだろう。
つまり。
それぐらいには異常な行動で、善良な15歳達の好奇心を刺激するのに不足の無いシチュエーション。
てか、私でも思う。
コイツ私に惚れてるんじゃ無い?的な事。
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