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メリー
僕はいつだって忘れる。君の透き通った声に乗ったメロディ。メリー・ゴー・ラウンドのオルゴール。回る記憶の中の、僕の中の、見たこともないはずの美しい思い出。
僕が、愛すのは、さよならを告げたものたち。きっと気付かないよ。みんな忘れてしまうよ。僕が忘れたら消えてしまうよ、と、そう、忘れるのが怖いんだ。痛くても、鍵をかけて閉じ込めてしまおうね。
雨が降ってるよ。紫陽花は枯れたよ。誰も帰ってこないね、忘れてしまいそう。怖いんだ。
僕ら悲しむことさえも忘れてた。胸を焼くような痛みも。さよならを告げることも。手を振って、焦がれることも。
僕はいつだって忘れる。君の透き通った声に乗ったメロディも。メリー・ゴー・ラウンドのオルゴールも。僕が今まで捨ててきた繋がりも、見たこともない美しい風景も、ぜんぶ。ぜんぶ。ぜんぶ。
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