林檎について

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林檎について

小さな八百屋で、腰を曲げた老婆が昨日の新聞を読んでいた。僕は、小さな林檎を買った。真っ赤にきらめく美しい林檎。やけにぞくっとして僕は老婆の心臓を握っているみたいだ、と思った。数日後、彼女は心臓麻痺で死んだらしい。あれ以来僕は林檎を食べられずにいる。気が付かずに心臓を食べていた僕は、ただ懺悔して。
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