422人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
――大和の国には古きカミ
が存在した。
海には海の、山には山の、
空には空のカミがいた。
人はカミを崇め、カミは人
を守り、共にこの地で暮らし
ていた。
だが、欲に溺れる人間の手
によりカミ狩りが始まると、
カミは瞬く間にその数を減ら
していった。
カミは怒りに身を任せ、荒
神となって人に牙を向ける。
カミと人による長き戦が続
き、しだいにカミは姿を消し
ていった。
カミの存在がなくなった大
和の国は、土地が枯れ、海は
腐り、滅びへの道を辿り始め
る……
人は再びカミを崇め始めた
が、カミは人の裏切りを許さ
ず。この地に残った僅かなカ
ミでさえ、人の目から逃れる
ように隠れて暮らしていた。
……これは、そんな時代に
生まれ育った若武者と、一匹
のカミの物語――
最初のコメントを投稿しよう!