白ノ王様『狐と若様』

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    ――大和の国には古きカミ  が存在した。   海には海の、山には山の、  空には空のカミがいた。   人はカミを崇め、カミは人  を守り、共にこの地で暮らし  ていた。   だが、欲に溺れる人間の手  によりカミ狩りが始まると、  カミは瞬く間にその数を減ら  していった。   カミは怒りに身を任せ、荒  神となって人に牙を向ける。   カミと人による長き戦が続  き、しだいにカミは姿を消し  ていった。   カミの存在がなくなった大  和の国は、土地が枯れ、海は  腐り、滅びへの道を辿り始め  る……   人は再びカミを崇め始めた  が、カミは人の裏切りを許さ  ず。この地に残った僅かなカ  ミでさえ、人の目から逃れる  ように隠れて暮らしていた。   ……これは、そんな時代に  生まれ育った若武者と、一匹  のカミの物語――
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