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昔々のお話――
貧しい村の貧しい家に生ま
れたひとりの少年がいました。
少年は、それはそれは美し
く。村の宝として大事に大事
に育てられていました。
だが、少年はある晩、村人
達の計画を耳にします……
『あれは金になる。』
『売るより、客を取らせた方
が稼げるぞ』
『首輪を作っておけ。俺は檻
を作るぞ。頑丈な檻だ』
『あぁ。もう少しだ。あと数
年であの宝は金を産む鶏にな
る』
『もう少し』
『あと少し』
『金持ちの男や女が、涎をた
らしてお待ちかねだ』
少年は恐ろしくなりました。
まだその意味も分からない幼
い少年は、ただ恐ろしくて逃
げ出します――
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