422人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
「母さんに似て、こんなに美
しいお前をどこにやるものか。
お前は大人になったら、俺の
妻になるんだ」
父親は少年の背を抱き締め
ます。強く強く……
「お、お父さん、苦しいよ」
「誰が売るものかっ!あいつ
ら、人の女房だけじゃ飽きた
らず、俺の宝も奪う気かっ!?」
「おと……」
少年の肉に父親の指が食い
込み、少年は息さえ出来なく
なりました。
「殺してやる……お前を奪わ
れるぐらいなら、こんな村、
葬ってやるっ!!」
ぐったりとした少年にも気
付かずに、父親は手を放すと
立ち上がりました。
少年は床の上に横たわり、
薄れる意識の中で、斧を手に
家から出ていく父親の背中を
見送りました――――
最初のコメントを投稿しよう!