黒ノ王様『呪われた少年』

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   「母さんに似て、こんなに美  しいお前をどこにやるものか。  お前は大人になったら、俺の  妻になるんだ」   父親は少年の背を抱き締め  ます。強く強く……  「お、お父さん、苦しいよ」  「誰が売るものかっ!あいつ  ら、人の女房だけじゃ飽きた  らず、俺の宝も奪う気かっ!?」  「おと……」   少年の肉に父親の指が食い  込み、少年は息さえ出来なく  なりました。  「殺してやる……お前を奪わ  れるぐらいなら、こんな村、  葬ってやるっ!!」   ぐったりとした少年にも気  付かずに、父親は手を放すと  立ち上がりました。   少年は床の上に横たわり、  薄れる意識の中で、斧を手に  家から出ていく父親の背中を  見送りました――――
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