間に合わなかった者達

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   【深夜0時12分】  「はいはーい  どうしたん、りあ?  今から入るよん♪  ちょっと待っててな、ウチ、今、ハ・ダ・カ(はあと)」  「も~、アホなこと言っとらんではよ入り!どうせまた長風呂やろ?りさ、いっつも長すぎんねん!何っ回も電話したんやからな!アンタのその使い道のない身体を磨くというこの無駄な一時間を後悔することになっとんで!」  パンツ一丁でバスタオルを首からかけ、大事な部分だけがかろうじて隠れている格好の乙女は、風呂上がりに、髪も乾かさぬままあわてて取った携帯の向こう側にいる双子の姉に怒られていた  「あるわ!  このナイスバデーを思い出して、今頃男共は色々やっとるっちゅうねん!  て、どないしてん?  そない怒ってからに…あの日かいな?それともイケメンの旦那様に浮気でもされたん?」  「ええから、はよ!」  「はいはい、せっかちは年とんのも早いで~」  パンイチの妹は、憎まれ口を叩きながらPCの電源を入れる  「ん?なにこれ?  アリーおかしなことになっとんで?  女戦士て(笑)」  「相変わらずアンタのパソコン、立ち上がり早いねんな」  「まぁ側以外はフルチューンしとるからねぇ~  中身全く別物(笑)  で?何なんこれ?」  「今度帰ってきたら、りあのもやってよね  運営からメール来とるやろ?  話すより、読んだ方が早い  アンタ、その格好で二度と外歩けへんで」  妹は携帯をスピーカーに切り替え、左手で髪を拭きながら、右手でマウスを動かす  「運営って死んだんちゃうん?  ふむふむ…ふむ…  なにこれ?」  「運営がとち狂って蘇った(笑)」  「新ジョブで女戦士なんて選んだん?」  「上級職になったらヴァルキリー(戦乙女)になれるんよ  格好ええやろ、ヴァルキリー  ま、成れそうもないけどな(笑)」  「あれ?電気付いとんのに、まったく話が見えへん」  「とりあえずアリーに着いてきて  絶対離れたらあかんで  エントランスの中は安全みたいやから、何かあったら直ぐに逃げるんやで」  「ウチ今、アバより薄着なんやけど…」  姉に促されるまま仕方なくヘッドセットをつけ、ルームを出る二つのアバター  軽鎧を装備した女戦士と、水着姿の女  対称的な二人の頭上には、こう表示されていた  《アリー:女戦士 Lv.1》  《サリー:モデル Lv.62》
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