第1章

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エルバの巫女であるランシアはいつものように大聖堂で祈りをささげていた。 神官たちや彼らを守るレビエルトの戦士たちもかたずをのんで、この儀式を見つめていた。 そして、ランシアに神託が下った。 ランシアは新官長のエルバを呼んだ。 ランシアはエルバに神託のことの重要性を語った。 ランシアは言う。 「エルバ、神託がおりました。」 神官長のエルバは、ランシアの表情がいつもと違い険し表情を見てとり何か重大なことが起き たのだと知った。 エルバは言う。 「ほう、して、神託はなんと」 ランシアは冷静さを取り戻して言う。 「どこの惑星かわかりませんが、一人の者が外宇宙と交信いたしたようです。」 ふむ、とエルバは言った。 ランシアは続ける。 「その者が外宇宙のものと結託し、この宇宙を侵略するとのことです。どう思います。」 エルバは少し考えてから言葉を選びしゃべる。 「なるほど、それはただ事ではありませんな・・・・・・ランシア様、このことをすぐに 各惑星に伝え、調査し、各惑星の方々と話し合う必要があるでしょう。」 ランシアはエルバのこの冷静な対応にいつも救われていた。 巫女であるランシアは、幼いころにその力を認められ、厳しい修行の中、正式に巫女として迎 えられていた。 いま彼女の年齢は、18歳である。 本来ならば、温かい家庭の中自由にくらして、恋の一つや二つもする年頃であるだろうに。 過去の神官たちからそのたぐいまれない力を発見されて、半ば強制的に親元を離れて暮らして きたのだ。 その時から彼女に自由はなく、国家のため、各惑星のために時間を費やしてきた。 しかし、それも過去のことと割り切りこの大役をこなしていた。 ただ、ひと時でもいい、自由がほしかった。 そんな彼女の相談役はいつもエルバだった。
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