麻衣の秘密

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ーるみ、麻衣さんとの間で一体何があったの?ー 私は、るみがよく分からなくなっていた。私が知っているるみはいつも冷静でこんなにおバカな私みたいな人にも苦笑いしながらも、いつも一緒にいてくれる優しい人。でも、そんな彼女が過去で麻衣さんに障害と傷を残すほどのことをやっていた…。自分がこれまで見てきた像との差が私をなお、苦しめた。 るみが飛び出していってしまったので、私も学校へ残っている理由もなく、帰り始めた。校門を出て、坂道を下って、麻衣さんのいるコーヒー屋さんまでもう少しという所で、パンと何かがはじける音がしたかと思うと、自転車がガクガクと揺れた。私が自転車から降りて見てみると何とパンクしてしまっていた。入学してから二日目でパンクを起こすという意味の分からない不運を目の当たりにして、私はますます沈んでしまった。 徒歩で帰るにはまだ遠いので仕方なく、怒られるのを覚悟で母親に頼んだら、ぶつくさ言いながらも迎えに来てくれることになった。 「でも、ここまで来るのに15分はかかるな・・・。」 私がボソッと言ったその時、後ろに気配を感じて振り返ってみると、いつの間にか麻衣さんが立っていた。 「え・・・いつからそこに?」 しかし、麻衣さんは何も言わずにそこに立ったままだ。その時、私はマスターの言葉を思い出した。 ー自分の言葉で相手を傷つけてしまっているのではと思ってしまうー なるほど、私も傷つけてしまうのではと思っているわけか。 「大丈夫だよ、私、何も傷つかないから。」 「・・・。」 だめだ、こりゃ。こうしていても何にもならないし、私はドラマで見た戦法をやってみることにした。 「麻衣さん、携帯ちょっと貸して?」 麻衣さんが恐る恐る出した携帯を受け取って私は麻衣さんとライン上で友達になる。そして・・・。 『ここなら話せるでしょ?』 こう書いて送ってみたが成果はなかった。ああ、どうしようと思ったその時、トントンと肩を叩かれ、麻衣さんがノートを渡してきた。見てみると 『私の電通手段はこれなので。』 と書かれていた。何とも古典的というかありきたりな手段だと思って見ていると、麻衣さんはさらに何か書き足してきた。 『自転車、大丈夫でしたか?』 「あ、うん。大丈夫ではないけど。すぐ直るっしょ。」
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