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「本当に?今のあなたの目、私と同じだと思うけど?あなたは麻衣とも友達になろうとしてるんでしょ?なのに、今のあなたの目はとても、そんな目はしてない。」
「あなたは麻衣さんとは違うからだよ!」
「いや、私も麻衣だよ。彼女を名乗ることもできる。私は麻衣が作ったんだから。」
そこに部屋の扉をノックする音が聞こえてきた。
「麻衣、どうかしたか?喧嘩してるみたいに聞こえたが。」
「・・・何でもない。」
今、目の前にいるアイは麻衣さんがするのと同じような返事をする。 そうかと返事をして足音が離れていくと、アイさんはまた、笑いながら言った。
「ね?私も麻衣。現にこうしていてもあの父親は何も気づいていない。」
こいつ…人をイライラさせる力は天下一品だ。
「ところで、私の過去を知りたいのよね?教えてあげようか?麻衣が何で人前で声を封じたのかも、私がどうして生まれたのかも全部。」
私が驚くと彼女はこう返してきた。
「ただし、1つだけ条件がある。私にも教えて。」
「え?」
「単純な理屈よ。これは言ってみれば交換よ。互いに持ってるものを利用した…ね?」
「私にはトラウマになるような過去なんて…。」
「誰が過去を教えてって言った?」
私がにらみつけると
「ほら、やっぱり。その人を恨みがましく見る目、他人とは思えないほど共感持てるんだよね…何を隠してるの?あなたも」
「私は本当に…」
「自分で気づいてない?目が泳いでるよ?」
私が顔をそむけると冷や汗出てると、短くまた返してくる。
「どうする?乗る?取引。」
「私の過去を聞いてどうするの?それこそ、あなたにメリットないじゃない。」
「いや、意外と使えるかもじゃん!」
私が次の言葉を選んでいると
「ほらね?困るでしょ?こうやって過去の事聞かれたら。」
アイさんが勝ち誇ったように続ける。
「人にされて嫌な事は他人にもしなーいの!」
そう言ってまた笑う。
「てめぇは本当に麻衣さんと違って根が腐ってる…。」
そこまで言って口をふさいだ。やってしまった。ずっと封印してきた口調の一部が出てしまった。前を見るとあの女が笑っている。
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