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「へぇ・・・そんな口調もできるんだ。」
私はこの時、心底慌てていた。いくら気が高ぶっていたとはいえ、あんな口調になってしまうとは・・・。昔の自分を思い出す。
「実は昔はそう言って人の事を馬鹿にしてきた感じのやつだったり?よく聞くじゃん。受験をきっかけに一時的に外見や性格をよくしようとするやつ、あなたもしかしてそういう類?」
何も言い返せなかった。なぜなら、まさに今アイが言ったように私は中学時代は荒れていた。自慢にはならないが当時、クラスを支配していた人間の一人に数えられるほど、喧嘩もしてたし、勉強も全くしていなかった。そんな私を高校まで進学できるようにしてくれたのが、るみだった。
「もしそうなら、隠さなくてもいいんだよ?昔はるみ。今は麻衣だって中身ごまかして生きてんだから。」
「るみは違う!るみは私をあのどうしようもない所から抜けさせてくれたんだ。彼女がそんな猫被るような性格じゃないことくらい・・・」
そこまで言って私の頭の中にるみから言われた言葉が浮かんだ。
ー余計な事しないで!ー
「そんなことくらい・・・。」
「自信ないんでしょ?いざ、私と麻衣のことで、知らなかった一面見るほどになっちゃってるらしいしね?」
「どうしてそのことを?麻衣さんがいつも通りの時には、あなたの記憶ないんでしょ?」
「まぁ、そうだけど・・・麻衣のふりをしてれば『これ』見れるし。」
そして掲げられたのは、麻衣さんが使っているノートだった。
「ここ見れば、大体麻衣がどんな事してたかって分かるし。」
そう言いながら、前に二人で話していた時のページを見せてくる。
「あなたの事を心配しているように見せなきゃいけないことだって・・・ね。」
その瞬間、私は思いっ切りアイを掴んでいた。
「お前、いい加減にしろよ!お前みたいなやつに麻衣さんの暮らしの何が分かるって言うんだよ!そんなノート一冊見たくらいでしったかぶりすんな!」
「はい、いただきました!知りたがり女の本性!せいぜいその性格で私を止めてみたら?性格が腐っているやつには性格が腐っているやつを。麻衣を本当に救ってみたいなら、あなた自身の手で私を消してみな!」
そう言うと、彼女はガクッと首を落とし、そのまま何も言わなくなった。
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