それぞれの出会い

3/5
前へ
/20ページ
次へ
「なんだ、あなた此処の高校なんだ。」 後ろから話しかけられた。でも、その声を聞いた瞬間、私は大きく目を見開いた。そして、ゆっくり振り返るとそこには、彼女が立っていた。あのストレートの髪、そして、その髪のすき間からも見える顔に大きくついた傷痕。私は声を震わせながらその相手に問いかけた。 「・・・麻衣?」 「そんなにびっくりしなくてもいいじゃない。」 不敵に笑っているように見える彼女に対して私は首を横に振った。 「・・・何であなたがここに?そんなはずない!あなたは今頃」 「何?今頃は・・・私は家でこもっているはずとでも思ってる?まぁ、それもそうよね。あなたが追い詰めたんだから?」 私はそれを言われた瞬間、一気に坂を下って家まで逃げ帰った。その途中で、こんな言葉が聞こえた気がした。 「・・・。そうやって、いつまでも逃げるつもり?るみ。」 坂を一気に自転車で振り返ると 「・・・いない?」 彼女は忽然と姿を消していた。 マスターがカフェオレを持ってくる。るみがから急用を思い出したから帰るとラインが来て、仕方がなく一人でここに入った。店は比較的空いていて、マスターと少し話していた。 「お、よく見たら坂の上女子高校の制服ですね。ということは入学式帰りですか?」 マスターがカフェオレを置きながら話しかけてきた。私がうなずくと 「じゃぁ、坂の上女子高の入学祝!今日はタダ!」 「え?マジですか!マスター大好き!」 「その代わり、これからもお店来てよ。」 もちろんと返事をしながら、出されたカフェオレをすすると、これが予想以上に美味しくてびっくりした。そんな私の反応を見て、マスターは得意げにこの店自慢のブレンドだと言った。その時、入口の自動ドアにつけられた呼び鈴が鳴った。 そこに立っていたのは、私と同じくらいの女子だった。しかし、高校の制服は来ていない。私服だった。 「おー、おかえり。」 彼女がうなずくとマスターは、一杯飲むか、と聞き、それにも彼女はうなずいた。一言も話さないまま、ただうなずくだけの彼女は私の二つ隣りの席に座った。娘さんか、とそんな程度の興味しか示さずにいると、彼女はボソッと呟いた。 「・・・その制服・・・坂の上女子高校?」 「え?」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加