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「なんだ、あなた此処の高校なんだ。」
後ろから話しかけられた。でも、その声を聞いた瞬間、私は大きく目を見開いた。そして、ゆっくり振り返るとそこには、彼女が立っていた。あのストレートの髪、そして、その髪のすき間からも見える顔に大きくついた傷痕。私は声を震わせながらその相手に問いかけた。
「・・・麻衣?」
「そんなにびっくりしなくてもいいじゃない。」
不敵に笑っているように見える彼女に対して私は首を横に振った。
「・・・何であなたがここに?そんなはずない!あなたは今頃」
「何?今頃は・・・私は家でこもっているはずとでも思ってる?まぁ、それもそうよね。あなたが追い詰めたんだから?」
私はそれを言われた瞬間、一気に坂を下って家まで逃げ帰った。その途中で、こんな言葉が聞こえた気がした。
「・・・。そうやって、いつまでも逃げるつもり?るみ。」
坂を一気に自転車で振り返ると
「・・・いない?」
彼女は忽然と姿を消していた。
マスターがカフェオレを持ってくる。るみがから急用を思い出したから帰るとラインが来て、仕方がなく一人でここに入った。店は比較的空いていて、マスターと少し話していた。
「お、よく見たら坂の上女子高校の制服ですね。ということは入学式帰りですか?」
マスターがカフェオレを置きながら話しかけてきた。私がうなずくと
「じゃぁ、坂の上女子高の入学祝!今日はタダ!」
「え?マジですか!マスター大好き!」
「その代わり、これからもお店来てよ。」
もちろんと返事をしながら、出されたカフェオレをすすると、これが予想以上に美味しくてびっくりした。そんな私の反応を見て、マスターは得意げにこの店自慢のブレンドだと言った。その時、入口の自動ドアにつけられた呼び鈴が鳴った。
そこに立っていたのは、私と同じくらいの女子だった。しかし、高校の制服は来ていない。私服だった。
「おー、おかえり。」
彼女がうなずくとマスターは、一杯飲むか、と聞き、それにも彼女はうなずいた。一言も話さないまま、ただうなずくだけの彼女は私の二つ隣りの席に座った。娘さんか、とそんな程度の興味しか示さずにいると、彼女はボソッと呟いた。
「・・・その制服・・・坂の上女子高校?」
「え?」
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