第1話 つみき一個目

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 私は、空を飛ぶ鳥のように今日はウキウキとしていた。 今日は、真夏の8月2日。ごく普通の夏休みである今日は普通ではなくて。 親友の「川尻 愛理沙」の誕生日なのである。 時は、名門国立小中高一貫学校の入学式のことだった。御令嬢、お坊ちゃま、ご夫妻の方がほとんどの小学校に私は、ごく普通の人間で金持ちでもなくてただ「特待生」として入学した私は、もちろんのとおりそんなえらい子供と仲良くはできなくて1週間程一人ぼっちだった。 そんなある日「彼女」がやってきた。 「貴方が『特待生』の篠崎 汐里(しおり)さんですか?」 とそう問いかけて手を差し伸べてくれたのが一番お嬢様の「川尻 愛理沙」ちゃんなんだ。 私は彼女の事を友として愛している。 大好きだ。  あれから9年ほど歳月が流れて今日は、愛理沙さんの誕生日なのです。 私は本当にお金がなくて、それは彼女も知っていて。 それでも愛理沙さんが期待してくれるものがあった。 『絵』だ。 彼女は絵が大好きで部屋中、色々な絵でいっぱいなのだ。私は毎年訓練を重ねて絵を贈っている。 ただ、贈った私の絵がどこにあるのかは、分からない。  今回彼女に贈ったのは、『ひまわり』の絵。 私は、顔を真っ赤にして彼女に渡した。 だって、恥ずかしいじゃん...こんな下手な絵...でも気持ちだけでも伝わってくれたらいいな。と私は密かに想う。 愛理沙さんは、その想いを読み取るかのように。 『伝わりましたよ、汐里さまの、熱い想い。ありがとう、とても嬉しゅうございますわ。』 彼女は一粒涙を流し私に抱きついた。 ありがとう、嬉しいなんて。 私も嬉しいよ、ありがとう。  誕生パーティーで愛理沙さんは疲れはて、一休みになったとき。 私は、愛理沙さんのお母様に呼ばれた。 緊張で石になってしまいそうだった。 長年愛理沙さんと親しんでいるのにお母様とは顔を合わせたことが一度もないから。 「そこに座ってちょうだい。」 「は、はいっ。」 お母様はロングの髪に似合うドレスをあしらっていた。 真剣な話をこれからするのだろうか、お母様は、身支度を整え、スーツに着替え、髪を結んで戻ってきた。 そして、話は始まる。  つづく。
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