第2話

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なぜだかわからないけど、その問いかけに、私の目の前にフッと現れたのはオーナーだった。 …え?何これ? なんでオーナーが? ちょ、ちょっと待ってよ。 勝手に頬が熱くなる。 返事も出来ずに目を泳がせていると、まどかさんがすかさず挟んできた。 「なぁんだ。そんな顔になるってことは、いるんじゃない」 「へっ!?」 「好きな人」 す、好きな人!? え? オーナーが? 「…あれ?なんだ、2人とも仲良いんだね」 いきなり後ろから聞こえてきた龍くんの声に、私は思いきりビクッと反応し、慌てて椅子から立ち上がった。 振り向くと、龍くんがニコッと笑う。 「柚ちゃん、あとは店よろしくね」 「あ、はい!」 「そろそろ行くか」 続けてそう言うと、まどかさんは椅子から立ち上がった。 すれ違う瞬間、私にポツリ。 「龍には言わないでよね」 私はハッとして、コクンコクンと何度も頷いていた。 その後私の頭の中は、今までにないくらいに混乱を招いていた。 私は、オーナーが好き? オーナーが好き?? オーナーが!? 忘れてしまえばいいものを、何度もまどかさんの言葉が耳元で繰り返される。 笑顔を見ると胸がキュン。そばにいるだけで楽しい。2人の時間はあっという間。 それってさ、まさにオーナーと一緒にいるときの私みたいじゃない? ってことはやっぱり、私はオーナーが好きだということなんだろうか。 仕事を続けながら考えることは、そんなことばかり。 それでもきっちり仕事を終え、閉店後、お店の中を片付けては厨房へ向かった。 ドアをノックする。 もちろん返事はない。これはいつものこと。 そっと開けては中を覗いた。 オーナーは作業台に寄りかかり、手に持っている書類みたいなものを見つめていた。 その横顔を見ては、再び自問する。 私は、オーナーが好き? その答えにたどり着く前に、先にオーナーが声をかけてきた。 「…入るなら入れ」 「あ、はい!」 慌てて中へと入り、ドアを閉めた。 そして、ゆっくりオーナーの元へ近づく。
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