第2話

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そんなときにオーナーは、2人を完全無視して食事を続けていた。 エキサイトしていく会話は、止まることを知らないらしい。 「あ、あの…、とりあえずその辺で…」 なぁんていう私の声は、どうやら全く届いていないようで。 「だいたいさ、俺だっていろいろ学んできてるんだから、それを試させてくれてもいいはずなんだよ」 「ここはシャンテイ。恭兄の店だ」 「んなことは分かってる。そうじゃなくて、俺の腕も見てくれてもいいんじゃないかってこと。もしかして恭兄、俺の腕を見るのが恐いんじゃねぇ?」 その言葉に、オーナーが反応した。 いや、反応してしまったと言うべきか。 「…何が言いたい?」 低く静かに響くその声に、私は思わず背筋が伸びた。 「言い換えなくたってわかってんだろ?俺の腕、少しは見てみろってことだよ」 わぁぁぁ、なんか、めちゃくちゃ火花が飛んでるような…。 これ、どうするの? するとオーナーも椅子から立ち上がった。 「くだらない話を続けるつもりはない」 そう言って立ち去ろうとすると、すかさず晋くんが続けてくる。 「…やっぱり、恐いんだな」 ボソッと呟いたその言葉に、オーナーは立ち止まった。 どう見ても、その表情はお怒りで。 「晋兄、やめろ」 龍くんが止めに入ったが、すでに事態を止めるには遅かった。 オーナーは晋くんの前にいき、胸ぐらを掴む。 「その口を止めるには、殴るしか方法はないか?」 キッと睨みつけるオーナーに対して、晋くんはニヤリと笑っているようだった。 「俺と腕を比べさせてよ」 晋くんがそう返すと、オーナーは掴んでいた胸ぐらをバッと離した。 「恭兄は夏の新商品に向けて、もう考案済みなんだろ?俺も考案したスイーツがある。どっちが次の新商品にふさわしいか、判定してもらおうよ」 「誰に?」 「ここに、龍と柚がいるだろ」 えっ!?私も!? あたふたしながら2人を見つめていると、オーナーは足を運び始めた。 「ついてこい」 そう言ってキッチンから出ていく。 それを見た晋くんはめちゃくちゃ嬉しそうに、その後に続いていった。 えぇ!?今からやるの!? 口をぱっくり開けていると、龍くんはため息。 「…ったく、晋兄は…。柚ちゃん、ごめんね」 「い、いえ!…でも、いいんですか?」 「いいのいいの。いつものことだから」
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