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オーナーのスイーツを食べ続けてきて気づいたのは、優しさはもちろんだけど、その次に安定感があるということ。
どこか安心できるんだよね。
私の手はどんどんはかどり、スイーツを半分まで口にしたところで。
「おい、柚。食べすぎだろ」
「えっ、…あら?」
「次は俺の食べてみろ」
「は、はい!」
そして私は、晋くんのお皿を覗いた。
そこにあるのは、花?と思ってしまうような飾り付け。
タルト生地の上にある花びらを一口食べて、それは白桃であることに気がついた。
思わず目を見開いてしまう。
タルトの中はレアチーズ。
白桃にレアチーズって合うの?と瞬時に思ったけど、意外にもそこはお互いが仲よく手を繋いでいた。
晋くんの作るスイーツは、オーナーのと比べると斬新と言えるのかもしれない。
もちろん、美味しい。
ここですぐに晋くんは感想を求めてきた。
「どう?…うまいか?」
私は笑顔で返した。
「うん、美味しかったです」
「それで!?どっちがいいと思う?」
うっ…、やっぱりそこ?
どちらかを選ばなきゃダメ?
オーナーの視線も自分へ注がれているのがわかると、私は唇をキュッと噛み締めた。
目を泳がせた後、私は意を決して口を開く。
「どちらもいいと思います!」
その言葉に頭を抱えたのは晋くん。
「あぁ~、それじゃダメなんだって。どちらかって言ったらどっちだった!?」
うわ~ん…。だから私には無理だってばぁ。
泣きそうになっていると、厨房のドアが開かれる。
そこから顔を出したのは龍くんだった。
「どう?出来た?」
あぁ!良いところに!
私は助けを求める眼差しで龍くんを見つめた。
すると中へ入ってきて、それぞれのスイーツを黙って一口ずつ。そして、食した後に続けてきた。
「晋兄には悪いけど、俺は恭兄に一票。恭兄の味はシャンテイの味、シャンテイの味は恭兄の味だ」
なんとなくだけど、龍くんの言葉の意味が私にもわかった気がした。
どちらがどちらのスイーツを作ったか教えてもらわなくても、きっとすぐに見つけたと思う。
オーナーの味を。
それだけシャンテイは、オーナーでできているんじゃないだろうか。
私も龍くんの話に納得していると、晋くんはフゥとため息。
そしてオーナーの作ったスイーツを口に運んだ。
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