第4話

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やっぱり慣れていくまで、時間とか経験とか、必要ってことなの? せっかくあんなすごいキス、してもらえたのに…。 気持ちよかったのに…。 途中、なぜか自分自身を見失いそうになってしまい、止めてしまった。 それは、あまりに初めての感覚で。 そこを乗り越えたら、今の私の体はどうなっていたんだろう? オーナーと、もっとラブラブになれるのかな。 でももしかしたら、これがきっかけで、もっといっぱいキスされたり、体に触れられたりするかもしれない? もしかしたらオーナーから、いっぱいしてきてくれるんじゃ…? だとしたら、これって、かなり前進ってことなのかな? そう思っては、1人でウンと頷いていた。 まだまだ熱い体を手でしっかり抱き締め、なんとか足を運び、私はキッチンの電気を消して部屋に戻ったのだった。 次の日の朝。 私は髪の毛をいつもより高めに結び、ご機嫌に朝食の用意をしていた。 そして、オーナーのコーヒーカップを取りだし、時計を見上げる。 「…あれ?…遅くない?」 そう思っているところにやって来たのは、晋くんで。 「おはよう!」 明るくて元気な声が部屋に響く。 「あ、おはようございます!」 「あれ?恭兄まだ?…珍しくねぇ?」 「…そうなんですよね。どうしたんだろう?」 「なんだ、仕方ないなぁ。俺が叩き起こしてきてやるか!」 そう言ったかと思ったら、再び開いたドアからやって来たのはオーナーだった。 「あれ、起きたのか?」 「晋、お前朝からうるさい」 ボソッと呟くと、前髪をかき上げて私の隣までやってくる。 すかさず声をかけた。 「おはようございます」 どこか照れてしまうのは、昨日のことをまだ引きずっている自分がいるからなんだけど。 でも、なんとか笑顔で挨拶できた。 オーナーは私を見つめ何度か瞬きし、ここでもボソッと呟いてきた。 「ん…、おはよう」 そしてカップを手にし、コーヒーを淹れはじめる。 「あ、私やります!」 オーナーからカップを受け取ろうと手を伸ばした。 が、なぜかスッと取り上げられる。 …あれ? 「大丈夫。お前は朝食の用意があるだろ?」 「あ、…はい」 そう返事をして、オーナーの横顔を見つめた。 気のせい…かな? 今、…避けられなかった? そんな思いを過らせては視線をキッチン台に戻し、続きに取りかかった。
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