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皆が各々朝食を済ませ片付けを終えると、次にシャンティの1日が始まる。
もちろん、明るく元気に仕事に向き合って。
ってなるはずだったんだけど、朝の違和感は私の中で徐々に大きくなっていったのだった。
別に、冷たくされるとか、会話をしてくれないとか、目を合わせてくれないとかじゃないんだけど。
これからもっとキスしたり触れたりしてくれるんだろうって期待していた私の心は見事に砕かれ。
むしろその逆で、全く触れてもらえない。
2人きりになっても同じで、キスどころか頭も撫でたりしてくれない。
オーナーは笑顔なんだけど、なぜか距離は遠退いてしまったようで。
どうして?なんでもっとラブラブになってないの!?
経験のない頭であれこれ考えてみる。
もちろん自分の中で解決には至らず、ただ時間だけが過ぎて行った。
あのとき私、何かいけないことしちゃったのかな。
ここ数日、頭の中はそんなことばかりを繰り返し呟いていた。
誰か相談に乗ってくれそうな人、いないかな?
そんなときに浮かんでくるといったら、龍くんかまどかさんしかいないわけで。
さすがに男の人には聞けない。
そう思った私は、まどかさんがお店に来た際に、思いきって話しかけてみた。
「あの…」
「…なぁに?」
親戚じゃなかったことをまだ根に持ってるのか、視線がきつい。
「実は、相談に乗ってもらいたいことがあるんですけど」
「は?嘘ついといて、よくそんなこと言えるわね」
うっ…、痛い。
私は泣きそうになりながら、ペコッと頭を下げて背を向けた。
すると、勢いよく私の肩をガシッと捕まえてくる。
「もう、やめてよ!」
「…へ?」
「あなた、浮き沈みが激しすぎるんだってば!そんな暗い顔されたら、気になるじゃない!」
その表情は、やれやれと言った感じで。
でも、私には救いの女神のように見えていた。
「うっ、…まどかさぁん!ありがとうございます」
そして休憩時間を利用して、龍くんがいないときにコソコソ相談させてもらった。
一通り、恥ずかしながらも説明すると、まどかさんの顔は絶句といった感じだった。
話し終えたところで、固まっているまどかさんに声をかける。
「あの~、聞いてました?」
するとハッとして、目を大きくして私に顔を近づけてきた。
「あんた、バカじゃないの!?」
「えっ!?」
「自分から誘っといて、止めさせるやつがいるかぁ!!」
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