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「ちょっと、何なの?…その幸せオーラ全開の笑顔は」
「いえ、いつもと変わらないですよ」
そう言って、ニコッと微笑んだ。
「はぁ?この前まで沈んでたくせに…。なんか、腹立つんだけど」
まどかさんの片眉は上がり、私を軽く睨んでくる。
「やだ、そんなこと言わないで下さい」
さらに笑顔で返すと、どうやら本当に腹が立ったのか、私の肩に手を乗せ思いきりグラグラと揺すってきた。
「何があったのか白状しなさいよ!」
「や、やめて!まどかさん!やめて~!」
そんな私たちの様子を見て、龍くんがクスクス笑う。
「柚ちゃん、恭兄とうまくいってるみたいだよ」
「あっ!龍くん、それは…」
言っちゃダメって口にしたかったんだけど、それよりも先に、まどかさんは大きい目をさらに見開いて、私に顔を近づけてきた。
「何それ!?どういうこと!?」
「あの、えっとぉ…。アハハハ…」
なんとか笑って誤魔化そうと試みる私だった。
龍くんには、昨日のシャンティ休日の夜帰ってきて早々、バレてしまったのだった。
別にオーナーとラブラブしてたわけでもないんだけど、普通に会話をしていただけなんだけど、全てがお見通しだったようで。
なんかもう、龍くんには敵わないなぁと1人で思ったり。
でもそんな中、晋くんはいつもと変わらずで、何一つ気づいていないみたいだった。
オーナーは龍くんと晋くんに知られることをどう思っているのか気になってしまった私は、今朝、2人でキッチンにいるときに何気なく話してみることに。
すると意外にも、龍くんにバレることは承知していた様子で。
「龍は、よく回りを見てるからな。だが知られたからといって、別に何も気にする必要はないだろう」
その返事に頷く私。
「たぶん晋は、…何も言わなきゃ気づかないかもな」
そう言って、笑っていた。
私はここで笑っていいものかどうか迷っていると、オーナーが顔を覗き込んできた。
「柚花と俺が楽しければ、2人に知られようが知られまいが、どちらでもいいんじゃないか?」
そう言って、クスッと笑った。
その笑顔に、もちろん頬は反応するわけで。
素敵な笑顔を思い出したら、また頬が熱くなってしまった。
その様子を見てか、まどかさんがさらに話しかけてくる。
「まさかオーナーとだなんて、信じられない。あなた、店の女性客みんな敵に回すのことになるわよ」
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