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「えっ!?」
「当たり前じゃない。顔も良くてパティシエだなんて人、なかなか近くにいないし。何人オーナーに迫った女性がいることか…」
「えぇ!?そんな…、そんなにオーナーってモテてるんですか!?」
するとそこでため息。
「だからぁ、言ったことなかった?オーナーは女性を雇わないって」
それを聞いてハッと思い出した。
そうだ!そんなこと、言ってたよね!
「あの、それって、どういうことなんですか?」
私が気になる様子を見て、まどかさんはニヤッと笑ってきた。
「ただの噂なんだけど、あまりに迫られ続けて女性が嫌になったって聞いたわよ」
「…え?」
「だからあなたを働かせ始めたあの日、常連の人たちみんなあなたのこと良く思ってなかったでしょ?」
た、たしかにそうだった。
睨まれてたんだよね、私。
「オーナーのこと、恭様って呼んでる集団もいるくらいなんだから」
き、恭様!?
私はそれを聞いて、開いた口が塞がらなかった。
…オーナーってそんなにモテるんだ。
もちろん自分もかっこいいって思ってるけど、そこまでモテると複雑?
迫られ続けたって、そんなに?
っていうか、私も何気に迫ってたりしなかった?
「好きです!」とか「本当に好きなんです!」とか。
それって、迫ったことにならないのかな?
自分のしてきた行いを振り返り、額から流れる汗が止まらない。
すると、まどかさんが続けてきた。
「うまくいってるのは今のうちだけかもね~。例え両想いになったって、あれこれ問題は尽きないものなのよ」
そして手をヒラヒラさせてくる。
私はその話を聞いて、固まることしかできなかった。
ただでさえ問題ある私なのに、回りはオーナーを想う人でたくさん溢れてるだなんて知ってしまったら…。かなりまずいのでは!?
黙りこむ私を見て何か思ったのか、まどかさんは遠慮がちに顔を覗いてきた。
「まぁでも、うまくいってるんでしょ?なら良かったじゃない。それにあなた親戚なんだし。みんなその辺は理解したみたいだから、別に心配なんて…」
そう言いながら、次にまどかさんが固まっていく。
「え!?あれ?…あなたたしか、親戚なんだよね?オーナーとうまくいってるみたいって…え?親戚同士で?」
その問いかけに、私はさらにハッとしては血の気が引いていった。
「あっ、あの…、いや、親戚っていうか…」
ま、まずい。バレる!?
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