第4話

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「風呂、上がったのか?」 「あ、はい!」 返事をすると、オーナーは私の前へ歩み寄ってきた。 その距離が縮まれば縮まるほど、胸も勝手に高鳴っていく。 これって絶対、変なこと考えてたからだよね。 オーナーは目の前に来たところで、私の髪を触るなりため息をついた。 「昨日も言っただろ?もっとしっかり乾かせ」 その言葉に、私は目をパチクリ。 「えぇ?これでも結構時間かけたんですよ」 腰上ぐらいまで伸びている髪の毛を、左側へまとめて流してみる。 オーナーはそれを見て、続けてきた。 「待ってろ。ドライヤー持ってきてやる」 「え、大丈夫なのに」 「いいから」 そう言って、キッチンを後にした。 そしてドライヤーを手にして戻ってきたオーナーは、ここへ座れと言わんばかりに椅子を引き出した。 私はおとなしく、そこへ腰かけることに。 ドライヤーのスイッチを入れると、私の髪の毛を柔らかく撫でるように、ふんわり優しく乾かしていく。 …あぁ、これってもしかして、かなり贅沢。 そのひとときに、満面に笑ってしまった。 乾かし終えると、オーナーの手が私の髪をさらに撫でてくる。 ゆっくり立ち上がり、オーナーへ振り返って声をかけた。 「ありがとうございます。サラサラになっちゃった!」 すると、ニコッとしてオーナーは頷いた。 「せっかくキレイな髪してるんだ、もったいないだろ」 え!?…キレイ!? ピンと耳を立て、反応する。 「ホントですか?そんなに私の髪、キレイ?」 オーナーの胸元に近づいて顔を上げ、返事を楽しみに待っては見つめていた。 すぐに返してくるかと思いきや、オーナーの視線は横へ流れていく。 …あれ?なんで目を反らすの? 私は再び目を合わせようと、顔を運びオーナーの瞳を覗こうとした。 「あの、聞いてます?」 そして右腕をチョイチョイと引っ張ってみる。 オーナーはなぜか咳払いして、口を開いた。 「…あぁ、聞いてる。キレイだよ」 そして頭を撫でてはさらに続けた。 「明日も早いんだ。そろそろ寝ておけ」 そう言って、ドライヤーの線をコンセントから外していた。 もちろん私がこれでニッコリ頷くはずがない。 「もう寝るんですか?まだもう少しくらいなら…」 「ダメだ。…ほら」 そう言うと、オーナーの顔がすぐに近づいた。 軽く、唇が重なる。
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