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そんな思いを過らせていると、オーナーの唇は離れ、次に頬から首もとへと滑り込んでいった。
「あっ…、んんぁっ…」
オーナーの肩に手を乗せ、グッと力を込めて握りしめる。
そして唇は、舌は、私の首筋を這っていった。それにビクッとしていると、気づけば服の中へ手が潜り込んでくる。
腰から背中にかけて、肌を伝いゆっくり滑ってきた。
その手に、私の体はさらに敏感に反応していって。
「あっ…、オーナー、…待って」
体がおかしい。
今まで味わったことのない緊張と感情の高ぶりに、息もままならなかった。
なんでだろう。
大好きなオーナーなのに。もっと触れてほしいって思ってるはずなのに。
触れられれば触れられる程、自分がどこかへ行ってしまいそうで。
私、これ以上は…。
「あっ…、あの、…待って」
止まってくれるかと思いきや、服の中の手はさらに伝って、胸元へとやって来ていた。
それに気づいた私はたまらず目をつぶり、ギュッとその手を服の上から捕まえた。
体を丸め、オーナーの手を抱き締める。
「ま、待って。…私、…ダメ」
そして顔を下げた。
胸がいっぱいで、熱くて、どうしたらいいのかわからない。
そのまま固まっていると、オーナーの唇は首もとから離れ、手はゆっくり下ろされていき、そのかわりに、私の頭の上へ乗っかってきた。
唇を噛み締め、顔を上げる。
すぐ目の前に、私を見つめるキレイな瞳があった。
どこか荒い息づかいを、整えているようで。
その様子に、私は目を見開いた。
感情が高ぶっていたのは、私だけじゃなかった…?
見つめたままでいると、オーナーがフゥと一息ついてくる。
何度か瞬きしては、再び私に目を合わせてきた。
頭を撫で、優しく呟く。
「…おやすみ」
そして私からゆっくり離れ、ドライヤーを手に持つと、そのまま静かにキッチンから出ていった。
私は、今まで呼吸を忘れてたのかと思えるくらい、一気に息を吐いては吸い込んだ。
「はぁ…っ、はぁ…っ…」
そして胸に手を当て、体を確かめる。
肌は異様に熱くて、その場に立っていられなくなり、さっき座っていた椅子に腰かけた。
次に、自分の顔を手で覆った。
あぁ…、どうしよう。
こんなに、こんなに緊張しちゃうなんて。
全然、落ち着いていたはずなのに…。
私は手を下ろし、次にダイニングテーブルを見つめた。
そして、目を熱くさせていく。
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