第5話

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額から汗を足らしていると、恭が割って入ってきた。 「おい、お前ら。勝手に話を進めるんじゃない。誰が住み込みでなんて言った?」 「…え?それじゃあ、今井さんは…」 恭は私に振り向くと、優しく続けてきた。 「家はここから四つ目の駅らしい。電車通い出来るそうだ。柚花が心配することは何もない」 それを聞いて、私はパァッと胸が明るくなっていった。 よかった。 そっか、それなら大歓迎かも。 私はすぐに笑顔になれたんだけど、晋くんはどうも納得できずにいるみたい。 それでも今井さんに興味があったのか、晋くんも龍くんも、あれこれと恭に話を聞いていた。 それだけシャンティに新しい人が来るってことは、大きなことなんだなぁって実感していた。 次の週。 今日からいよいよメンバーが1人加わる。 私は朝からいつもの仕事をこなしていた。もちろん皆も。 開店前の準備をしているとシャンティの入り口に人影を見つけ、慌てて駆け寄った。 今井さんだ。 急いでドアの鍵を開けた。 「おはようございます!」 すると、ペコッと頭を下げてきた。 「おはようございます。すいません。正面の入り口しかわからず、ここから入ってもよかったのか迷ったんですが…」 「そうですよね、初めてだからわからないですよね!あとで、裏口教えます」 「はい、お願いします」 そして笑顔を返す今井さんを見て、とても丁寧な人だなぁと感じていた。 その後厨房へ通し、恭がそれぞれの紹介を始めた。 もちろん朝の忙しい時間に余裕はあまりないため、簡単にだけれど。 今井さんもすぐ恭と一緒に厨房で働くのかと思いきや、まずは接客からということで、龍くんと私と今井さんの3人で開店を迎えることになった。 龍くんが今井さんにあれこれと教えていく。 私が初めてやって来たときのように。 それを見て、どこか懐かしく思えていた。 いつの間にか龍くんは今井さんを健くんと呼んでいて、スキンシップの素早さに唖然とした。 私も何か、先輩らしきことをしなければいけないのかと思っていると、こんなときに限ってドジを踏んだりする。 つまり、私もまだまだだろってことですかね。 そんなこんなでお昼を迎えると、龍くんが声をかけてきた。 「柚ちゃん、俺2時には出るからさ、さきに健くんとお昼入っていいよ」 「あ、はい!わかりました」 そして、今井さんと一緒にキッチンでお昼を取ることに。
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