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それからというもの、健くんが接客する間は大抵いつも2人でお昼を取っていた。
接客業を何日かこなすと、次に恭と厨房で過ごすことが多くなっていったけれど、それでもやっぱりお昼の時間は私と重なることがほとんどだった。
そんな空間にだいぶ慣れたころ。
「そういえば柚ちゃん、毎日ネックレスしてるよね」
「あ、気づきました?」
「うん。お気に入りなの?」
「はい!…って言うか、すっごく大切なものです!」
「へぇ。見ていい?」
「はい!いいですよ。…あっ、でも、外したくないからなぁ…」
恭がつけてくれたあの日から、私は一度も外すことなく身に付けていた。
絶対外さないって、決めていたくらいだし。
「…じゃあ、つけたままでいいよ」
「え?」
健くんは椅子から立ち上がると、私の方へ回ってきた。
「つけたままでも、見れるでしょ」
あ、そうか。
私も椅子から立ち上がり、制服の襟元からチェーンを引っ張ってリングを出してみせた。
長身の健くんはその場で少し屈み、リングを優しく手の平に乗せて見つめた。
「キレイだね。うん、柚ちゃんに似合ってるかも」
その言葉を聞いて、私はうれしくなってしまった。
そして照れ笑いすると、健くんは笑顔を返してくれるのだった。
健くんともだいぶ仲良くなれて、お昼の時間を毎日楽しく過ごすようになっていた。
明日は休日だという夜。最近では恭の部屋で過ごすことがお決まりになりつつあった。
お風呂から上がった私は、真っ直ぐ恭の部屋へ。
ノックして、中へヒョコッと顔を出してみる。
恭はベットに座り、なにやら本を読んでいる様子で。
でもすぐにその本を閉じ、顔を上げて私に笑顔でおいでと手招きした。
それにニコッと微笑み、恭の隣へ腰かけた。
すると髪の毛に触れ、口を開いてくる。
「ちゃんと乾かしてきたか?」
「うん」
そして恭の手が、優しく頭を撫でていった。
その後すぐ私の体に手を回すと、ベットの上へグイッと引き上げていく。
恭はベットの壁際に寄りかかりあぐらをかくと、私をその足の上へ乗るようにと手を引いていった。
私は自ら恭の足をまたいで座り、ペタッと胸元にくっついた。
ん~、やばい。なんてしあわせな一時なんだろう。
恭とこうしてる時間、ホントに大好き。
ニッコリしては、顔を上げた。
そして目に入ったのは、ネックレスで。
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