第5話

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それからというもの、健くんが接客する間は大抵いつも2人でお昼を取っていた。 接客業を何日かこなすと、次に恭と厨房で過ごすことが多くなっていったけれど、それでもやっぱりお昼の時間は私と重なることがほとんどだった。 そんな空間にだいぶ慣れたころ。 「そういえば柚ちゃん、毎日ネックレスしてるよね」 「あ、気づきました?」 「うん。お気に入りなの?」 「はい!…って言うか、すっごく大切なものです!」 「へぇ。見ていい?」 「はい!いいですよ。…あっ、でも、外したくないからなぁ…」 恭がつけてくれたあの日から、私は一度も外すことなく身に付けていた。 絶対外さないって、決めていたくらいだし。 「…じゃあ、つけたままでいいよ」 「え?」 健くんは椅子から立ち上がると、私の方へ回ってきた。 「つけたままでも、見れるでしょ」 あ、そうか。 私も椅子から立ち上がり、制服の襟元からチェーンを引っ張ってリングを出してみせた。 長身の健くんはその場で少し屈み、リングを優しく手の平に乗せて見つめた。 「キレイだね。うん、柚ちゃんに似合ってるかも」 その言葉を聞いて、私はうれしくなってしまった。 そして照れ笑いすると、健くんは笑顔を返してくれるのだった。 健くんともだいぶ仲良くなれて、お昼の時間を毎日楽しく過ごすようになっていた。 明日は休日だという夜。最近では恭の部屋で過ごすことがお決まりになりつつあった。 お風呂から上がった私は、真っ直ぐ恭の部屋へ。 ノックして、中へヒョコッと顔を出してみる。 恭はベットに座り、なにやら本を読んでいる様子で。 でもすぐにその本を閉じ、顔を上げて私に笑顔でおいでと手招きした。 それにニコッと微笑み、恭の隣へ腰かけた。 すると髪の毛に触れ、口を開いてくる。 「ちゃんと乾かしてきたか?」 「うん」 そして恭の手が、優しく頭を撫でていった。 その後すぐ私の体に手を回すと、ベットの上へグイッと引き上げていく。 恭はベットの壁際に寄りかかりあぐらをかくと、私をその足の上へ乗るようにと手を引いていった。 私は自ら恭の足をまたいで座り、ペタッと胸元にくっついた。 ん~、やばい。なんてしあわせな一時なんだろう。 恭とこうしてる時間、ホントに大好き。 ニッコリしては、顔を上げた。 そして目に入ったのは、ネックレスで。
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