第5話

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「用意できましたぁ?」 ノックした後、ドアを開けて恭に声をかけた。 「あ?…早いな。もうできたのか?」 「はい!」 元気に返事して、部屋の中へ。 本日、6月3日、火曜日。 恭と待ちに待ったデートの日! と言っても、昨日の仕事を終えた後から2人の時間は始まっていた。 外で食事をしてきて、もちろん寝るときは恭の部屋で過ごし、何度も体を重ね合った。 それでも明日はおでかけだからと言って、寝る時間をきちんと確保したんだけど。 朝方再び恭に襲われる羽目になり、現在の時刻、午前10時33分。 出来るだけたくさん楽しみたい私は、急いで支度に取りかかった。 下には紺の膝上シフォンスカート、上には透け素材の柔らかいパステルベージュの七分丈のブラウスをインにして。 おでかけ着に着替えただけで、すでにワクワク。 「せっかくだし、柚花の行きたいところに行かないか?」と、昨日食事しながら恭が提案してくれて。 だったら恋人っぽいデートをしたいと思った私は、「映画見に行ったり、ショッピングしたり、恭といろんなとこ歩きたい!」とすぐに叫んでいた。 そんな私にクスクス笑った恭は、「船橋にあるららぽーとにでも行ってみるか」と行き先を決めてくれたのだった。 もちろんどこのどんな場所なのかわからない私だったけど、笑顔で頷いていた。 準備ができたところで、2人で手をつないでデート開始! そのららぽーとという場所に到着してみると、なんともまあ広い場所で。 建物も大きい上に、お店はいくつも並び、こういうところもあるのかと驚きを隠せなかった。 一人でいたら、絶対迷子になりそう。 そう察した私は恭の腕にピッタリくっつき、隣を歩いていた。 「どうする?映画、見てこようか?」 「え?ここに映画館なんてあるの!?」 目を大きくして尋ねると、クスッと笑ってきた。 「あるよ。たしか、三階だ。何か見れそうだったら見ていこうか」 「あ、はい!」 慣れない店内の雰囲気に圧倒されながら、私は恭にくっついていった。 「ちょうどこの映画なら見れるけど、入ってみる?」 そう言われ、よくわからないけどとりあえず頷いていた。 再び恭にくっついていくと、大きなスクリーンを正面に、座席がいくつも並んでいる場所へ。 恭が辺りを見渡し、真ん中あたりの座席に腰かけた。 そして足を組み、私をチラッと見上げてきた。
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