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そう言って、柔らかな笑顔で私を見つめてくる。
胸がいっぱいになり、また涙溢しそうになってしまった。
慌てて瞬きして恭の元へ駆けていく。
大きなその手を掴んで握り返し、隣を歩いていったのだった。
言えるときが、来るのだろうか。
どうすればいいんだろうと悩む自分は確かに存在するけど、そこから先、恭に全てを打ち明けている姿が全く想像できない。
たぶん、そんなときは来ないんだと思う。
だって、今まで何事もなくシャンティにいることが出来たじゃない。
だから、大丈夫。
大河内家を出てもう4ヶ月も経とうとしてるけど、見つかることも、そんな気配さえも全くなかった。
きっと、このまま。
ずっと、このまま…。
恭との初デート。帰り道を行くなか、私の心の中はそればかりだった。
家へ到着して、私たちは真っ直ぐキッチンへ。
荷物をテーブルに置き、椅子に腰かけた。
「あぁ…、ずいぶん歩いたな」
私はクスッと笑った。
「疲れちゃった?今、熱いエスプレッソ淹れますからね」
そしてキッチン台へ行こうとすると、私の腰に手が伸びてきた。
グイッと引き寄せられる。
恭は座ったまま私を抱き締め、胸元へ顔を埋めた。
一瞬目を見開いたけど、恭に触れてる部分はすぐに暖かくなり、愛しさが込み上げる。
優しく恭の頭を撫でてみた。
大好き、そんな想いを胸にしながら。
すると、ゆっくり私へ顔を上げてくる。
「買ってきたやつ、開けてみたら?」
そしてニコッと笑う恭に、私は大きく頷いた。
そうだ!そうだよね!
テーブルに置いた荷物をガサゴソ開けて、中からペアのネックレスを取り出す。
もちろん、恭と私の。
ネックレスの先には、細めのリング。それはお互いのリングがキレイに重なり合うようにできていた。
大きめのが恭ので、小さいほうが私の。
これを見かけたときに、恭から「買っていこう」と声をかけてくれたのだった。
そのときはいろんな思いからか、はしゃげなかったけど、本当はめちゃくちゃ嬉しくて、今こうやって手にしているのも夢なんじゃないかって感じてしまうほど。
2つのネックレスを手にしていると、恭は手から私の分を持っていった。
そしてフックを外し、こっちを向けと目で合図してくる。
私は頬を熱くさせながら、恭の目の前に向き直った。
「少し屈んで」
言う通りにすると、恭が私の首にふんわりとネックレスをかけてきた。
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