第6話

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その言葉に、お店の中が一瞬にして沈黙になった。 自分の鼓動がやけに大きく感じられて仕方ない。 目の乾きを覚え、私は何度も瞬きを繰り返した。 「…え?どういうこと?…ごめん。俺、全く話が見えないんだけど」 そう言って龍くんは困惑ぎみに目を泳がせ、私を見つめてきた。 今までにないその眼差しに、目を合わせていられず顔を伏せ、唇を噛み締める。 あぁ、…私、…なんてことしてるんだろう。 昨日といい今日といい、罪悪感で堪らない。 私を快く受け入れてくれた皆を、ここまで困らせてしまうなんて…。 心から申し訳ない思いが込み上げてくる。 晋くんは一度私へ振り向いた後、再び坂本へ声をかけていった。 「っ…出てってくれ!」 「…申し訳ありませんが、晋一様。最初からご説明しなければなりませんか?」 その言葉に、私の体がビクッと反応してしまった。 慌てて顔を上げ、坂本を見つめる。 やだ、やめて。 胸の中が、叫びだす。 それでも晋くんは、坂本の言葉に強く返していった。 「そんなの聞く必要はない。柚はシャンティの大事な家族だ!柚に帰る意思がないのなら、ずっとここに…」 途中まで話したところで、坂本がクスッと笑い出した。 「…っ、何がおかしい!?」 「申し訳ありません。…晋一様は、柚花様のことをどこまでご存知でいらっしゃいますか?全てをご理解の上、それで家族とおっしゃっているのですか?」 「何っ!?」 そう反応すると晋くんは足を運び、坂本に食って掛かろうとした。 龍くんが慌てて前に出て、晋くんを止めに入る。 「晋兄、落ち着けって!」 私はその様子を、見届けることしかできずにいた。 足が全く動かなくて、どうすればいいのかわからなくて。とっさに手を握り締めていた。 すると、私の後ろから大きな声が響いた。 「お前ら、何でかい声出してんだ!」 その声に私の体はビクッと反応し、再び硬直する。 晋くんと龍くんは、私の後ろにいるのであろう恭の方へ、すぐに視線を運んだ。 そして坂本もまた、同じように顔を上げる。 私は、振り向くことが出来なかった。 ただその場で、真っ直ぐ顔を上げていた。 何かを見つめるわけでもなく。 「…なんだ?…どうかしたのか?」 次の恭の声を聞いて、私は大きく息を吸い込み、ゆっくり目を閉じていった。 いかなることがあろうと、涙を流さぬようにと言い聞かせながら。
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