その1、「鰹節の逆襲」

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「おまわりさん行くのー?」 「昆布の1割かぁ…………要らねぇなぁ………」 その見た目のインパクトに思わず拾ってみる。 やはり磯臭い、採れたてのようだ。 妹の言う通り、嫌がらせ(暇潰し)に交番に届けようかとも考えたが、私達もそこまで暇をもて余してはいないので、というか暑くてしょうがないので、私は昆布をぶんぶん振り回しながら再び真夏の公園(木陰)に向かい歩きだした。 妹は生の昆布を初めて見るらしく、興味津々で振り回される昆布を眺めていた。 そんなに目を輝かせていても、昆布には何も出来ないよ? 昆布に対してちょっと期待を持ちすぎだよ? そんな事をぼんやり考えながら、私は誰が落としたのか、近所に海は無いからトラックの積み荷からこぼれたのかも知らない昆布を、先程より更にブンブン勢いよく振り回す。
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