E.1

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なればその、首をもたげる股間を踏んだとしたら。 どのような艶やかさで彼は呻くのだろう。 彼がもたげたのがソレならば、私は悪魔のような好奇心だと言っておこう。 土踏まずの窪みに押し当て、そこを支点に足首を回す。幾枚かの布を隔ててなお、熱を感じるのは気のせいだろうか? 体勢が不安定だったので、彼の両肩をしっかと握る。 上半身が幾らか反り、半ば押し倒しているような体勢になっている。 圧し殺した呻きのような声は喘鳴と解釈していいのだろう。とても幸せそうな顔をして、掠れた低い声がエロティックで…… 大の男、それも大切な部分を踏み、喘がせていることに灰暗い悦びを胸の奥に、チリリと焼けつく痛みのように私は刻み込んだ。
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