E.2

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「見ているだけで構いませんよ」 不安を打ち明けたところ、彼はそう答えてくれた。 私がほっとしたのもつかの間、彼は唐突にベルトを緩めて自慰を始める。 見ていろとはそういう意味なのか。 屹立を擦り、性の快楽を得る姿。 プライベートにも程がある部分と行為を晒け出し、吐息は徐々に甘さを含み震え出す。 猛りが増し、最後の追い込みになる頃。 「手を止めて」 息を詰める音――何故、と問いたげな表情を刹那浮かべた後、名残惜しそうにゆっくりと手を離す。 本来なら、自由にできるはずの自慰でさえ。 絶頂に達する直前に止められて、それでも喜悦の貌は消えず。 なんと浅ましく、無惨なものだろう。 彼の手は濡れている。 物欲しそうな顔をして、然れどその言葉を発する権限は彼になく。 私はたっぷりと時間を置いてから。 とはいうものの、あまり長くするのもどうかと思ってしまった。だいたい15秒、ゆっくり数えてから。 許可する、と呟いた。 上り詰めたままに放置されていた欲望は、まさに爆発したと言うべきだろう。一度や二度で済まされはしない、そのまま狂ったように慰めを続ける。頬は紅く、目にはうっすらと涙さえ浮かべて、許された快楽に身を委ねていた。
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