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私は直美のことが気になり、
電話が切れた後も
スマホをきつく握りしめ、
直美の怯えた声を
思い出していた。
―――――――――――――――
その日の夜、私の携帯に
薫から電話があった。
私が電話に出ると、
私の耳に薫の焦った声が
飛び込んできた。
「綾子、聞いた?
直美のこと……。
直美ね、今日の帰りに
電車にひかれたって……。
学校から直美の家に行く
途中の踏み切り、
あそこで直美が、
線路の方へ飛び出して……」
私は薫の話を聞いて、
ゾッとして体中から
血の気がひいた。
〈 学校帰りの踏み切りって、
まさかあの電話があったときに
直美は…… 〉
私は今日、電話で聞いた
直美の怯えた声を
思い出していた。
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