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その日の夜、
私の携帯に
薫が電話をかけてきた。
私は電話の内容を予測し、
身構えてスマホを握った。
「綾子、今日、
校舎の屋上から飛び降りた
小野田真理子だけどさぁ……、
アイツ、
運ばれた病院で死んだって……。
綾子、私、怖いよ。
私はアイツのこと
自殺に追い込むつもりなんて
なかったのに……」
小野田真理子が死んだ……。
それは私にとって、
衝撃的な事実だった。
私はまるで
悪夢でも見ているかのように、
周り景色が歪んで見えた。
私たちは、
一人の中学三年生を
死に追いやった
当事者になってしまった。
私たちはこれから、
自分たちが犯した罪を
糾弾されるのだろうか?
私の関心は、
小野田真理子の死よりも
そのことに集中していた。
「綾子、それでさぁ、
あったらしいんだよ、
小野田真理子の遺書が……。
校舎の屋上に
並べて置かれた靴の上に、
遺書が置かれていた
らしくて……」
私は薫の話を聞いて、
心臓が
止まってしまいそうなほどの
衝撃を受けた。
〈 その遺書には、
いったい、
何が書かれているの? 〉
私は、そのことだけが
気になった。
〈 その遺書に、私の名前は、
書いてあるのかしら? 〉
私は遺書のことが気になり、
その日は
眠ることができなかった。
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