2話 揺るぎ続ける日常

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午後3時 私は防衛省から家に戻っていた。 「今日の夕食どうしましょう...?」 約束したのはいいが、私にはまだ仕事があることを忘れていた。 「何で突っ立ってる?」 ずっと何もせず突っ立っている私に、ご主人は不信感を覚えた。 「べ、別に何でもないです!」 「はあ?」 終は愛依の反応が今一理解出来なかった。 「...ご主人は、私のことが必要ですか?」 そして顔を赤くしながらも、そう質問した。 「それは、俺にとって愛依は大切な人だからな(ライフラインの意味で)」 「甘い言葉ばかり投げかけないでください...!」 「ぐは...!!」 愛依の破壊的なパンチが自分の顔に襲い、視界が180度変わった気がした。 「い、痛いな!!いきなり何しやがる!?」 「ご、ご主人がラノベ主人公的な事ばかりするからですよ...!!」 「何だよその例え!!」 俺は、意味が分からないことを言っている愛依に思わず怒りが沸いた。 「それでも使用人か!?」 「な...」 俺はしばらくして、その言葉は人権に関わる問題だと気付いた。 「わ、悪い...」 「わ、私だって、人間なんです、女の子なんです...」 愛依の心の叫びに心が痛んだ。 「もういいです、それでは...」 「ちょ、ちょっと待てよ!!」 しかし俺の言葉は愛依には届かなかった。 「愛依...」 愛依の姿はこの家から消えた。
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