2話 揺るぎ続ける日常

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私はご主人に忠誠心を誓いました。 誓ったはずでした。 「何で分かってくれないのです...?」 私の気持ちをご主人はわかってくれなかった。 痛い 心が痛い... 「愛依さん?」 「青倉さん...」 公園のベンチでうなだれていた私に話をかけてくれたのは青倉さんだ。 「あ、涙...」 「あ...」 私は、悔しすぎて涙を流していた。 涙を流すのって久しぶりだな... 大の大人が情けないな... 「これ、使ってください」 「...ありがとうございます」 気に入らない人だが、優しさは伝わった。 「ごめんなさい、女性の涙を見るのは不本意ですが、何かあったのですか?」 「...別に何もありません」 そう、これは私の勘違いだったのだ。 私はご主人に大切にされてると思っていた思いは、私の勘違いだったのだ。 「それでは少し早いですが、お食事に行きません?」 「え?」 今は午後3時 家から出てから三時間が経っていた。 「私事では何ですか、お話を聞かせてくれませんか?」 私はこう言った。 「はい...」 「ここの店は結構人気がある場所なんですよ」 「へえー」 そこら辺は知識不足だった。 私達は店に入った。 席は完全予約制の店で、私達は少し早かったが、なんとかなったらしい。 「この店はフランス料理の店です、お口に合うことを願います」 「そ、そうなんですか」 良く良く考えれば海翔さんはすごく紳士的でいい人ではないか。 「そう言えば愛依さん、貴方は憲章者なんですよね?」 「はい、そうですが...?」 「実は僕、元憲章者なんですよ」 「そうなんですか!?」 私はついくいついた。 「ええ、防衛省の憲章者から職員に成り上がりです」 憲章者は所詮、専属としての立場が最上位なだけで、本職と比べることは別物なのだ。 専属としての立場は憲章者の他に中章者、忠誠長者がある。 位の大きさの順は憲章者、中章者、忠誠長者の順だ。 「でも憲章者って結局は汚れ係ではないですか?」 「そうですか?その組織に最上級の忠誠心を与える、それって素晴らしいことではありませんか?」 「...素晴らしい考えですね」 確かにそうなのかもしれない、ついご主人の考えが移ってしまっていた。
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