報復裁判。

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 次に口を開いたのは、兵庫県警生田警察署巡査部長阿久津雷造である。 質問の相手は久貝弥吉。 弥吉は内心 (所轄作法は完全に無視) …と雷造を鼻で笑いつつ質問に応じる構えであった。 「ほな久貝君たちは、あの江田島健児相手と知っても尚、お嬢さんが嫌がっとうやんかボケ! …って具合に挑んだんかいな?」 「はい。 ノブレス=オブリージュ…高貴なる者の義務ですからね」 「バカやなぁ… それで自分が怪我してもうたらかなんやろ… ところで、その伸び縮みお風呂なんちゃらて…」 「ノブレス=オブリージュですか? 嫌だなあお巡りさん、先程申し上げた通り、英語で高貴なる者の義務という意味ですよ。 それより、生田警察署の方が何故大阪の事件に? 所轄作法を無視して宜しいのですか?」 意地悪く笑いながら弥吉。 すると雷造は、少し照れ臭そうに笑うと口を開いた。 「ワイは捜査やのうて、証人として来ただけですわ。 いやはや、所轄作法とは恐れ入ったがな。 さすが一流倶楽部の帝大生ともなると、並の帝大生とは頭の出来がちゃうでホンマに」
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