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左京と雷造による質問が始まってから何も言わない陸攻とみさきを尻目に、三人組はいつしかすっかり有頂天である。
左京と雷造がニヤリと笑いつつ口を開いたのは、それからすぐの事であった。
「…どうも腑に落ちません。
早瀬康博さんは腕を捩り上げられたとおっしゃいましたが、こちらの資料では袋だたきにされたとあります。
そしてもうひとつ。
人間の骨の強度はコンクリートの数十倍ありますから、皆さんの下腕部には確実に袋だたき以上の衝撃が加わった筈です。
それ程までの重傷を負ったというのに、なぜ大阪市内で手当てを受けなかったのでしょうか?」
そう言いつつ左京は、同僚と手分けして調べた大阪市内にある医療施設の外来記録をメモした資料を三人に見せる。
そのページのどこを探しても、自称一流倶楽部の三人の氏名はなかった。
「そ、それはですね警部さん!
副会長が言ったノブレス=オブリージュですよノブレス=オブリージュ!
確かに彼等は罪を犯しました。
しかし、だからといって大阪市内で手当てを受けては、コトが大きくなるじゃありませんか!
僕たちもまだまだとは言え紳士の端くれ。
英国紳士の伝統であるノブレス=オブリージュを…」
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