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壁に耳あり障子に目あり。
パッと見た限りでは何の変哲もない自習室なのだが、よく見ると教卓が随分と黒板に寄せられている。
そしてその教卓の中にこそ、四つの目と四つの耳が潜んでいたのだ。
そう。
つい今さっき、悟たちが陸攻を囲んで脅迫を行った自習室に置かれた教卓の中に…
「あのクソダボ共…
もうコソコソすんのはやめや。
…今から乗り込んで、あのクソダボ共叩っ殺…」
「待って下さい!
…俺も行きたくなるじゃありませんか」
笹井のその言葉のお陰で、嵐山はほんの少しではあるものの冷静さを取り戻す事が出来た。
しかし嵐山も笹井も、あんな卑劣極まりない脅迫を耳にした以上、当然その心中が穏やかでいられる訳がない。
「それにしてもあいつら。
江田島の者(もん)に袋叩きされた言いよう割に、やたら普通に喋っとうわ」
嵐山の言う通り、悟一味は包帯の総延長に比例して実によく喋る、喋る、また喋る…
あれだけの短い時間にあれ程酷い脅迫をやってのけた訳であるから、法廷での態度など推して知るべしであろう。
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