罠。

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「随分と脅迫し慣れた連中でしたね。 あの包帯の九割は、いや、もしかしたら全部が嘘ですね。 ヤクザじゃあるまいし…」 「幾らなんでもそら言い過ぎやろ笹井」 「はい。 私がヤクザなら、あんな連中と一緒にされた時点で血相を変えて怒ります」 「ワイもや。 やぁこかてあないにえげつない脅迫せえへんでホンマに」 怒ったり呆れたりを繰り返しながら言葉を交す嵐山と笹井。 戦友兼永遠のライバルを脅迫しただけでも許しがたいのに、連中は御丁寧に親族の七光りまで持ち出して来ているのだ。 「なにが参謀本部付参謀やダボ。 ぶぶづけ参謀かて勿体ないわホンマ」 「あ、それ面白いですね。 意味は分かりませんけど…」 「面白がっとう場合ちゃうやろ自分…」 敢えてそんな言葉を重ねる嵐山と笹井。 最初当てにしていた覗き穴こそ見つからなかったものの、声量によってはどこかの隙間から、隣の自習室でのやり取りが飛び込んで来るらしい。 「帰りますか?」 「絶対あかん。 …ん野郎(にゃろう)! …ホンマに江田島者(もん)からボッコボコの袋叩きにド突き回されたらどぉなるか、今すぐ教えたらぁ!!」
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